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分度之規矩(ぶんどのきく)


佐賀市立小中一貫校芙蓉校 蔵 ・佐賀県立博物館  寄託   1638年作成  鍛冶工長賢 作
     外径 34.2cm  星座盤径23.8cm  重量10.145kg  

分度之規矩は、英国エディンバラ国立スコットランド博物館に、1878年来所蔵されている「星座盤」とともに、この種の星座盤としては世界に二つしか無いものである。佐賀市立芙蓉中学校(現;佐賀市立小中一貫校芙蓉校)より1974年に佐賀県立博物館に寄託された。
本資料は測量具として「大円分度」とよばれるもので方位角測定にもちいられていた。使用法について注目する点は測量にあたり、水平を出すため水を星座盤部分に注ぐ、つまり星座盤(中央)は水を注水し、水平面をもつ容器の構造をもつということである。「分度の規矩」という名称からは測量に使用する分度器という意味になる。
星座盤に水を注水し、水平を保って、方位磁石から方位を測定すれば精度1°以内で方位角が読めて、測量の分度器としては有能な機器と考えられる。
星座盤は1425個の凸点で星が表現されている。星の位置は中国の「天象列分野之図」とよく合致する。方位磁針は失われているがスコットランド博物館所蔵の本資料と同様な儀器には方位磁針が現存している。穴の数は同じく2か所。

※佐賀県立博物館・美術館「佐賀藩の天文資料」展示会の説明文より引用